「2027年度の報酬改定で、放課後等デイサービスや児童発達支援の報酬は下がるの?」「これから開業して大丈夫?」――次の改定が近づき、こうした不安を持つ方が増えています。
2026年8月27日、国の「障害福祉報酬改定検討チーム」は、令和9年度(2027年度)障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)を示しました。この記事では、その資料をもとに、放デイ・児発の事業者に関係が深いポイントと、今から準備しておきたいことを整理します。
この記事のポイント
- 2027年度改定は2027年4月の適用に向けて、2026年8月から議論が始まった
- 国の論点は「持続可能な提供体制」「地域生活と多様なニーズ」「質の確保と制度の持続性」「地域差・人口減少」の4本柱
- 放デイ・児発では「質に応じたメリハリ」「加算の適正化」「人材育成・チーム支援の評価」「地域区分の見直し」が焦点
- 新しい報酬の中身はまだ決まっていない。今できるのは、質の記録と加算の要件管理、地域区分の確認
目次
2027年度(令和9年度)報酬改定とは|3年に1度の見直し
障害福祉サービスの報酬は、原則として3年に1度見直されます。前回は2024年度(令和6年度)で、次が2027年度(令和9年度)です。なお2026年6月には、放デイ・児発などの新規指定事業所に限って基本報酬を引き下げる臨時の改定(放デイ約1.8%減、児発約1.2%減)が行われました。2027年度改定は、この流れを踏まえた本格的な見直しになります。
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| 時期(目安) | 主な動き |
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| 2026年8月 | 検討チームが「主な論点(案)」を提示 |
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| 2026年9月〜 | サービスごとの議論、関係団体へのヒアリング |
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| 2026年末〜 | 国の予算編成の中で改定率が決まる |
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| 2027年2月頃 | 改定案のとりまとめ |
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| 2027年3月 | 報酬告示・通知の公布 |
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| 2027年4月 | 新しい報酬の適用 |
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※2026年10月時点の目安です。日程は今後の議論で変わることがあります。
国が示した4つの論点
第62回 障害福祉報酬改定検討チーム(2026年8月27日)の資料「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」は、次の4本柱で構成されています。
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| 論点 | 主な内容 |
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| 1. 持続可能なサービス提供体制の確保 | 物価変動への対応、他職種と遜色のない処遇改善、人材確保、テクノロジー活用などによる生産性向上 |
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| 2. 希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応 | 地域移行・相談支援の質の向上、重度障害児者の受入れ、障害児支援の質の向上とサービスの充実 |
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| 3. サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保 | 質が十分でない事業者の参入への対応、メリハリのきいた報酬体系、制度趣旨に沿わない加算算定への対応 |
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| 4. 地域差や人口減少への対応等 | 地域区分の見直し、国庫負担基準のあり方、中山間・人口減少地域でのサービス維持 |
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出典:障害福祉報酬改定検討チーム 第62回(2026年8月27日)資料2
資料の冒頭では、前回改定後に「障害者本位ではないサービス提供の事案が相次ぎ、質が十分でない事業者の参入も見られる」と指摘されています。2027年度改定は、質の高い事業所を評価し、そうでない事業所には厳しくする方向で議論が進むと考えておくべきでしょう。
放デイ・児発の事業者が押さえたい6つのポイント
① 質に応じた「メリハリ」と加算の適正化
論点案は、障害福祉の予算が社会保障費全体を上回るペースで伸び、営利法人を中心に事業所数・利用者数が大きく増えているサービスがあると指摘しています。そのうえで、メリハリのきいた報酬体系と、制度趣旨に沿わない加算算定への対応を検討するとしています。加算を「取れるから取る」のではなく、要件どおりの支援と記録ができているかが、これまで以上に問われます。
② 2026年6月の「新規指定の減額」との関係
2026年6月の臨時改定は、収支差率が高く事業所数が急増している4サービスについて、新規指定事業所の基本報酬を引き下げるものでした。既存事業所は対象外です。2027年度改定でこの扱いがどうなるか(継続・見直し・既存事業所への拡大など)は、まだ示されていません。これから開業する方は、引き下げ後の単価で収支計画を立てておくのが安全です。
③ 人材育成・チーム支援・支援体制の評価
障害児支援の項目では、「障害児支援を支える人材の育成」「チーム支援の推進」「支援体制の評価のあり方」が検討事項に挙がっています。研修の実施、職員間での支援の共有、児発管を中心とした支援計画の運用など、体制の質を説明できる事業所が評価されやすくなると考えられます。
④ 医療的ケア児・重症心身障害児、家族支援、インクルージョン
医療的ケア児や重症心身障害児など支援ニーズの高い子どもへの支援の充実、家族支援、ライフステージを通じた切れ目のない支援、インクルージョン(地域の子どもと共に育つ環境)の推進も論点です。児童発達支援センターの中核機能の強化も挙げられており、地域の中での連携がより重視されます。
⑤ 地域区分の見直しで単価が変わる可能性
報酬は「単位数×地域区分ごとの単価」で計算されます。論点案は、国家公務員の地域手当(令和6年人事院勧告)の見直しを踏まえて、障害福祉の地域区分も検討するとしています。同じサービスでも、所在地の級地が変われば1単位あたりの単価が変わり、売上に影響します。開業予定地・運営中の事業所の級地は必ず確認しておきましょう。
⑥ 処遇改善と物価への対応
「他職種と遜色のない処遇改善」と物価変動への対応も論点の1本目に挙がっています。処遇改善加算の取得は、職員の採用・定着だけでなく、改定後の収支にも直結します。まだ取得していない、または上位区分を取れていない事業所は、要件を早めに確認しておきましょう。
改定の中身が決まるのは2027年の初めごろです。それまでは「どの方向に動きそうか」を押さえ、どちらに転んでも困らない運営をしておくことが大切です。
データで見る改定の背景
国が「メリハリ」や「質の確保」を強調する背景には、放デイ・児発の急速な拡大と、経営状況のばらつきがあります。
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| 指標 | 放課後等デイサービス | 児童発達支援 | 全サービス平均 |
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| 収支差率(令和6年度決算) | 9.1% | 7.8% | 4.6% |
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| 赤字事業所の割合(令和6年度決算) | 45.4% | 33.8% | ― |
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| 月平均利用者数(令和6年度) | 約37.4万人 | 約18.3万人 | ― |
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出典:厚生労働省・こども家庭庁「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果の概要」、厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」
平均の収支差率は全サービス平均を上回る一方、放デイでは約45%の事業所が赤字です。平均値が高いことが「新規指定の減額」の理由になり、同時に赤字の事業所も多い――この二極化が、2027年度改定でも「質に応じた評価」が議論される土台になっています。
改定に向けて今から準備しておきたいこと
運営中の事業所
- 個別支援計画・支援記録・モニタリングが要件どおりにそろっているかを点検する
- 算定している加算ごとに要件と根拠書類を一覧にし、「趣旨に沿った算定か」を見直す
- 職員研修の計画と実施記録を残し、チームで支援を共有する仕組みを整える
- 処遇改善加算の区分と要件を確認し、上位区分が取れないか検討する
- 事業所所在地の地域区分(級地)と、見直しによる影響を試算できるようにしておく
これから開業する方
- 2026年6月以降の新規指定の単価(引き下げ後)で収支計画を立てる
- 地域区分・定員・人員配置ごとの損益分岐点を計算しておく
- 改定のたびに要件が変わることを前提に、制度情報を継続して得られる体制を用意する
- 加算に頼りすぎず、基本報酬と稼働率で黒字化できる計画にする
損益分岐点の考え方は放課後等デイサービスは何ヶ月で黒字化?損益分岐点の目安、報酬の計算方法は放課後等デイサービスの報酬はいくら?で詳しく解説しています。
改定に強い運営体制をつくるには
報酬改定のたびに、算定要件の確認、体制届の提出、運営ルールの見直しが必要になります。独力で運営する場合は、改定情報の収集から書類作成までを自分たちで行わなければなりません。
ブロッサムジュニアのフランチャイズでは、本部が法令改正の方向性をいち早く入手して加盟教室に共有し、体制変更や加算申請ごとの行政提出書類の作成を指導しています。行政の実地調査・監査への対応も、提出書類の打ち合わせと事前確認で支援します。詳しくはブロッサムジュニアのフランチャイズの詳細をご覧ください。
2027年度報酬改定に関するよくある質問
- 2027年度の報酬改定はいつから適用されますか?
-
2027年4月からの適用が予定されています。改定案は2027年2月頃にまとまり、3月に報酬告示が出るのが例年の流れです。日程は今後の議論で変わる可能性があります。
- 放課後等デイサービスの報酬は下がりますか?
-
2026年10月時点では、改定率や個別の単位数は決まっていません。ただし国の論点案は「質に応じたメリハリ」や「制度趣旨に沿わない加算算定への対応」を挙げており、運営の質によって差がつく方向で議論されると考えられます。
- 2026年6月の新規指定の減額は、2027年度以降も続きますか?
-
現時点では示されていません。これから開業する方は、引き下げ後の単価を前提に収支計画を立てておくと安全です。
- 地域区分が変わると何に影響しますか?
-
報酬は「単位数×地域区分ごとの単価」で計算されるため、級地が変わると1単位あたりの単価が変わり、同じ利用実績でも売上が増減します。論点案では、国家公務員の地域手当の見直しを踏まえた検討が挙げられています。
- 改定に備えて今すぐできることは何ですか?
-
支援計画と記録の整備、算定中の加算の要件の点検、職員研修の記録、処遇改善加算の区分の確認、所在地の地域区分の確認がすぐにできる準備です。
まとめ|改定の方向性を押さえ、質で選ばれる運営を
- 2027年度改定は2027年4月の適用に向けて議論中。中身はまだ決まっていない
- 国の論点は「持続可能な提供体制」「地域生活と多様なニーズ」「質の確保と制度の持続性」「地域差・人口減少」の4本柱
- 放デイ・児発では「質に応じたメリハリ」「加算の適正化」「人材育成・チーム支援の評価」「地域区分の見直し」が焦点
- 今できる準備は、記録と加算要件の点検、研修体制、処遇改善、地域区分の確認
改定の詳細が示されたら、この記事も更新します。
出典:障害福祉報酬改定検討チーム 第62回(2026年8月27日)資料2「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」/厚生労働省・こども家庭庁「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果の概要」/厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」