目次
県全体の計画・サービス利用の動向
埼玉県は2024〜2026年度の「第7期埼玉県障害者支援計画」で、障害児の通所支援(児童発達支援や放課後等デイサービス)の整備目標を掲げている。計画では、重症心身障害児が身近な地域で児童発達支援や放課後等デイサービスを利用できるよう、市町村に事業所設置を働きかけるとし、2024年度末時点で23市町に36か所ある重症心身障害児向け放課後等デイサービスについて、2028年度末までに各市町または各圏域に1か所以上となるよう整備すると明記している。児童発達支援事業所も同様に拡充する目標を掲げており、2024年度末の18市町・34か所から2028年度末までに各市町または圏域に1か所以上となることを目指している。
障害福祉サービス利用量の実績も公表されている。2023年度(令和4年度)の放課後等デイサービス利用量は137,677人日で、計画の見込量に対して83.9%にとどまったが、県は2025年度に173,861人日、2026年度に193,183人日へ増加すると見込んでいる。このように利用者数・利用日数は年々増加傾向にあり、特に障害児人口の増加や保護者の就労ニーズの高まりが需要を押し上げている。
県全体としては、重症心身障害児向けを含む放課後等デイサービス事業所の数が需要に追いついておらず、県は「サービスの質の向上」「事業所の設置促進」「情報提供の充実」を施策として掲げている。後述する市町の状況をみても、多くの自治体で利用見込量に対して事業所数・定員が不足している。
主要市町の利用見込とサービス供給状況
民間の調査記事では、県の障害児福祉計画や市町村計画を集約し、令和4年度(2022年度)の実績と令和7年度(2025年度)の利用見込を比較している。このデータをもとに、主要市町の放課後等デイサービス利用者数の動向とサービス供給状況を表1に整理した。
主要市町における放課後等デイサービスの利用見込と供給状況
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| 市町 | 児童発達支援利用者数 (2022→2025年見込) | 放課後等デイサービス利用者数 (2022→2025年見込) | 傾向 | 事業所数・定員(2024年時点) | 利用見込量に対する供給状況 | 備考 |
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| 埼玉県全体 | – | 14,848人→21,718人 | 県は放課後等デイサービスの利用者数が 約1.5倍に増加すると見込んでいる | – | 多くの圏域で不足。重症心身障害児向けを含め各市町に1か所以上の整備を目指す | 計画では2028年度末に23市町・各圏域で1か所以上整備することが目標 |
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| さいたま市 | 1,619人→2,881人(児童発達支援) | 8,396人→12,927人 | 利用者数は両サービスとも大幅に増加。都市部で障害児の人口が増加し保護者の就労支援ニーズが高い | 児童発達支援183か所(定員1,915人)、放課後等デイサービス228か所(定員2,048人) | 令和7年度見込量に対し 「非常に不足」 | 定員は利用見込の約2割程度であり、新規事業所の開設や定員拡大が急務 |
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| 川越市 | 295人→354人 | 683人→928人 | 児童発達支援は緩やかな増加、放課後等デイサービスは約36%増 | 児童発達支援36か所・定員435人、放課後等デイサービス51か所・定員520人 | 児童発達支援は「足りている」、放課後等デイサービスは 「非常に不足」 | 市内では児童発達支援の供給が比較的充足しているが、放課後等デイの定員は需要の約6割と推計され、増設が必要 |
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| 川口市 | 詳細値不明 | 1,261人→1,725人 | 児童発達支援は微増、放課後等デイサービスは約37%増 | 児童発達支援81か所・定員882人、放課後等デイサービス105か所・定員1,047人 | 両サービスとも 「不足」〜「非常に不足」 | 市の予測では放課後等デイの定員が見込量の約6割で、特に放課後等デイの不足が顕著 |
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| 越谷市 | 824人→938人 | 1,540人→2,209人 | 放課後等デイサービスは約44%増、児童発達支援も増加 | 児童発達支援64か所・定員699人、放課後等デイサービス不明(記事では定員不足と記載) | 「不足」または「非常に不足」 | 計画では需要に対し施設定員が2〜3割不足し、早急な整備が求められる |
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| 熊谷市 | 204人→195人(減少) | 499人→423人(減少) | 唯一利用者数が減少。人口減と周辺市への流出が要因 | 児童発達支援12か所・定員141人、放課後等デイサービス15か所・定員144人 | 需要減少により 供給は「不足」だが差は小さくなる見込み | 供給数は微増予定だが、市は安定的な運営を重視。ニーズの多様化に対応するため専門性の向上が課題 |
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| 所沢市 | 457人→585人 | 778人→923人 | 両サービスとも増加し、放課後等デイサービスは約19%増 | 児童発達支援81か所・定員268人?、放課後等デイサービス37か所・定員380人(推計) | 「非常に不足」 | 既存事業所の定員拡大と市外からの利用者受け入れで不足を補っているが、需要増に追いつかない |
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| 春日部市 | 214人→293人 | 473人→602人 | 利用者は2~3割増加 | 児童発達支援17か所・定員156人、放課後等デイサービス32か所・定員254人 | 「非常に不足」 | 市は新規指定を促進しているが、近隣市との競合で事業者誘致が難しい |
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| 草加市 | 331人→336人 | 791人→876人 | 児童発達支援はほぼ横ばい、放課後等デイサービスは約11%増 | 児童発達支援28か所・定員約??人、放課後等デイサービス42か所・定員約??人 | 「非常に不足」 | 地理的に東京に近く通学圏が広いため、需要は高いが供給は追いつかない |
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※川口市の児童発達支援の利用者数の詳細値は記事に明示されていないが、増加傾向と記載されている。
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埼玉県の主要市別“見込量・実績・目標”比較
単位が資料ごとに異なるため、「人(概ね月平均)」と「人日」を分けて整理します。
(ここでの「人数」は多くが月平均の利用者数として計画に置かれている値です)
県(埼玉県)— 放課後等デイサービスの利用見込み(県全体)
県計画の「見込量(県全体)」として以下が提示されています。
- R6:222,271 人日(19,777人)
- R7:242,086 人日(21,718人)
- R8:263,363 人日(24,401人)
また、(県の第6期の取組状況として)放課後等デイサービスの実績(達成状況)も示され、R3→R4で伸びています。
- R3実績:137,677 人日(達成率83.9%)
- R4実績:173,861 人日(達成率97.6%)
さらに、「重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所の設置数」について、
- 元年度末:13市町 25箇所
- R4年度実績:23市町 36箇所
- 目標(R8年度末):各市町村または各圏域に1箇所以上
が整理されています。
参照元:https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/39842/zentai_kai4.pdf
川口市 — 実績(R3~R5見込)+見込量(R6~R8)
「各年10月利用分」をベースに、放課後等デイの増加傾向が明示されています。
- 実績(各年10月利用分)
- R3:1,109人(14,194人日)
- R4:1,261人(15,482人日)
- R5見込:1,383人(16,742人日)
- 見込量
- R6:1,545人(18,183人日)
- R7:1,725人(19,748人日)
- R8:1,927人(21,447人日)
- 重症心身障害児を主に支援する事業所の確保目標(R8):2か所
- 質の向上:指定障害児通所支援事業者への指導監査等の実施(文中に方針として明記)
参照元:https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/43/r6syougaisyahukusikeikaku.pdf
越谷市 — 見込量(R6~R8)+重症対応体制の現況
- 重症心身障害児対応の放課後等デイ:7事業所(R5/10末時点)
- 放課後等デイ見込量
- R6:2,018人(15,472人日)
- R7:2,209人(16,818人日)
- R8:2,400人(18,165人日)
- 質の向上:ガイドライン活用、保護者への説明責任、適切支援、指導監査などの方向性が示されています。
参照元:https://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi_shisei/shisei/keikaku/kakushukeikaku/fukushi/hsougaifukushi/files/7ki3kifukushikeikaku.pdf
春日部市 — 実績が計画値を上回り、需要増を前提に上方見込み
- R4:計画 4,467人日 → 実績 5,390人日(計画を大幅に上回る)
- 見込量(第7期期間)
- R6:6,244人日(555人)
- R7:6,720人日(602人)
- R8:7,232人日(652人)
- 課題:居場所確保、質向上・人材育成、重度児の受入体制など
- 数値目標:重症心身障害児支援事業所 1か所以上(R8末)
参照元:https://www.city.kasukabe.lg.jp/material/files/group/24/dai7kikasukabeshishougaihukushikeikaku.pdf
草加市 — 利用者増(R3→R5)と、量+質の両立を明確化
- 背景(R3→R5):支給決定者数・延べ利用者数が増加(認知度向上、事業所参入、学校等との連携強化が要因として記載)
- 見込量(R8=2026年度)
- 支給決定者数:744人/年
- 月あたり延べ利用人数:878人/月
- 月あたり利用日数:7,928日/月
- 成果目標(重症心身障害児を主に支援する放課後等デイ):草加市の目標 2か所
- 課題:事業所数(量)だけでなく、支援の質、重症・強度行動障害・高次脳機能障害等への対応も重視
- 施策例:障害児通所支援事業所の連絡協議会への補助等を通じた研修・質向上(方針として記載)
傾向のまとめ
- 利用者数の増加
さいたま市や越谷市など都市部では、放課後等デイサービスの利用者数が2022年度から2025年度にかけて3~5割増加すると見込まれている。障害児人口の増加、早期支援への意識向上、保護者の就労支援のニーズが主な要因とされる。
- 供給の不足
多くの市町で、計画が見込む利用量に対して事業所数・定員が不足している。特に放課後等デイサービスはさいたま市や川口市などで「非常に不足」と評価され、定員が利用見込の半数以下にとどまるケースもある。
- 地域差
川越市の児童発達支援は供給がほぼ充足しているが、放課後等デイは不足している。熊谷市は利用者数が微減するため不足感が小さいが、他市町では需要増に対する供給不足が顕著である。
- 県の施策
県は重症心身障害児向け施設を含め、全市町または圏域に最低1か所の放課後等デイサービスを確保することを目標にし、第三者評価によるサービスの質向上や情報提供の充実を進めるとしている。
解説と今後の課題
埼玉県では障害児通所支援の利用が増加しており、特に放課後等デイサービスの需要が急増している。県の計画では重症心身障害児向けのサービス整備が焦点となっているが、一般の放課後等デイサービスも利用者数が大きく増える見通しである。市町レベルでは需要予測に対し供給が追いつかず、多くの市町で「非常に不足」または「不足」の状態である。事業所定員の拡大や新規参入の促進に加え、質の担保やサービス提供地域の偏在解消が課題となる。
一部の自治体では利用者数の増加に対応するため、民間事業者の誘致や既存事業所の定員拡大を支援しているが、人材確保や運営ノウハウの問題があり、必ずしも順調に進んでいない。また、熊谷市のように利用者数が減少する地域でも、専門性の高い支援を安定的に提供するための事業所維持が求められている。
今後、県と市町が連携して支援制度を周知し、事業者に対する補助や研修を充実させることが必要である。利用者数の伸びが大きいさいたま市や越谷市では、適切なサービスにアクセスできるよう、事業所の立地バランスや送迎支援の強化も検討すべきである。
参考サイト
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/39842/zentai_kai4.pdf
https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/004/001/005/p113957_d/fil/keikaku-all-pdf.pdf
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/res/projects/defaultproject/page/001/008/833/siryou5_20240130.pdf
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/43/r6syougaisyahukusikeikaku.pdf
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi_shisei/shisei/keikaku/kakushukeikaku/fukushi/hsougaifukushi/files/7ki3kifukushikeikaku.pdf
https://www.city.kumagaya.lg.jp/about/soshiki/fukushi/syogaifukushi/keikaku/syougai-keikaku.html
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kenko/syogaifukushi/syogai8/keikakuVI.html
https://www.city.kasukabe.lg.jp/material/files/group/24/dai7kikasukabeshishougaihukushikeikaku.pdf
https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1503/keikaku.pdf
https://h-navi-biz.jp/marketing/6059