放課後等デイサービスの開業エリアを考えるとき、「利用者が多い都市部と、競合が少ない地方、結局どちらが有利なのか」で迷う方は多いです。都市部は需要が大きい反面ライバルも多く、地方は競合が少ない反面そもそもの利用者数が限られます。
放課後等デイサービスの都市部 vs 地方は、どちらか一方が絶対的に正解というものではありません。家賃、人材採用、稼働率、送迎コストといった経営指標を並べて比較すると、それぞれに向き不向きがはっきり見えてきます。大事なのは、自分の目指す経営スタイルに合うのはどちらかを見極めることなんです。
都市部と地方、なんとなくイメージはあるんですが、経営の数字で見るとどう違うんでしょう?
この記事では、放課後等デイサービスの都市部と地方を5つの経営指標で比較し、それぞれのメリット・デメリット、そして最適なエリアの選び方を解説します。読み終える頃には、自分が狙うべきはどちらのタイプのエリアかが判断できるようになります。
目次
放課後等デイサービスは都市部と地方どちらが有利なのか
まずは全体像として、都市部と地方の有利・不利をどう捉えるべきかを整理します。ここを押さえておくと、この後の指標比較が腹落ちしやすくなります。
結論|どちらが有利かは「経営スタイル」で決まる
先に結論をお伝えすると、都市部と地方のどちらが有利かは、あなたの経営スタイルによって変わります。多店舗展開でスケールを狙うのか、1店舗で堅実に地域に根ざすのかで、選ぶべきエリアは正反対になり得るんです。
都市部には都市部の勝ち方があり、地方には地方の勝ち方があります。「一般的にどちらが得か」ではなく、「自分の条件でどちらが勝ちやすいか」で考えることが、エリア選びの出発点になります。
都市部と地方で競合密度は3倍以上違う(データ)
都市部と地方の違いは、データにもはっきり表れています。児童1,000人あたりの放課後等デイサービスの事業所数は都道府県によって差が大きく、令和元年度のデータでは最も多い沖縄県で2.06事業所、最も少ない新潟県で0.67事業所と、3倍以上の開きがありました。
この差は、放課後等デイサービスが十分に行き届いていない地域が存在することを示しています。事業所が密集した激戦区もあれば、供給が薄い地域もある。都市部と地方の比較は、まさにこの競合密度の差を軸に考えることになります。
出典|厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」ほか(児童1,000人あたり事業所数の都道府県比較)
「利用者の多さ」と「競合の少なさ」はトレードオフ
都市部と地方の比較で最も本質的なのが、「利用者の多さ」と「競合の少なさ」はトレードオフの関係にあるという点です。都市部は利用者が多い代わりに競合も多く、地方は競合が少ない代わりに利用者も少ない。この構造を理解することが比較の土台になります。
どちらの環境にも一長一短があり、片方だけを見て「有利だ」と判断すると失敗します。次章から、この2つの環境を5つの経営指標で具体的に比較していきましょう。
経営指標で比較|都市部vs地方の5つの違い
放課後等デイサービスの都市部と地方を、経営に直結する5つの指標で比較します。まずは全体像を表で確認し、その後で一つずつ掘り下げていきましょう。
スクロールできます
| 経営指標 | 都市部 | 地方 |
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| 利用者数(需要) | ◎ 多い | △ 少ない |
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| 競合の数 | △ 多い | ◎ 少ない |
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| 家賃・物件コスト | △ 高い | ◎ 安い |
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| 人材採用 | ◎ 集めやすい | △ 難しい |
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| 送迎コスト | ◎ 抑えやすい | △ かさみやすい |
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表を見てわかるとおり、都市部と地方はきれいに強みと弱みが逆になっています。どの指標を重視するかで、向いているエリアが変わってくるわけです。
①利用者数(需要の母数)|都市部が有利
まず利用者数、つまり需要の母数では都市部が有利です。人口が多い都市部は対象となる児童の絶対数が多く、支援を必要とする子どもも比例して多くなります。
需要の母数が大きいほど、定員を埋めやすく、複数店舗への展開もしやすくなります。放課後等デイサービスの売上は稼働率に直結するため、利用者を確保しやすい環境は経営の安定に直接効いてきます。この点は都市部の明確な強みです。
②競合の数|地方が有利
競合の少なさでは地方に軍配が上がります。前述のとおり児童1,000人あたりの事業所数には3倍以上の地域差があり、地方では供給が薄いエリアが多く残っています。
競合が少なければ利用者の奪い合いが起きにくく、開業直後から高い稼働率を実現しやすくなります。先行者として地域のスタンダードになれる可能性も高い。この競合密度の低さが、地方の最大の魅力です。
③家賃・物件コスト|地方が有利
固定費の面でも地方が有利です。放課後等デイサービスの支出のうち、家賃などの物件費は全体の10%程度を占めます。都市部では家賃負担が重くなりやすく、この固定費が経営を圧迫する要因になります。
地方なら同じ広さの物件でも家賃がぐっと抑えられるから、毎月の固定費が軽くなるんですね。
そのとおりです。指導訓練室の面積基準を満たす物件を、地方なら都市部より安く確保できることが多いです。固定費が軽ければ損益分岐点が下がり、少ない稼働でも黒字化しやすくなります。低コスト構造は地方開業の見逃せないメリットです。
④人材採用|都市部が有利
一転して人材採用では都市部が有利です。放課後等デイサービスは児童発達支援管理責任者(児発管)や児童指導員、保育士など有資格者の配置が必須で、この採用が経営の生命線になります。
人口の多い都市部は有資格者の母数も多く、採用の選択肢が広がります。一方、地方では「利用者は集まるのにスタッフが集まらない」という事態が起こりがちです。人件費は総支出の5〜6割を占める最重要コストであり、そもそも人を確保できるかは死活問題。採用のしやすさは都市部の大きな強みです。
⑤送迎コスト・送迎圏|都市部が有利
送迎の面でも都市部がやや有利です。都市部は児童が近い範囲に集中しているため送迎ルートを組みやすく、送迎コストや時間を抑えやすい傾向があります。
地方は児童が広範囲に分散していることが多く、送迎距離が長くなりがちです。送迎に職員の時間が取られると、その分の機会損失も生まれます。ただし地方では「遠くても迎えに来てくれる」ことが強い競争優位にもなるため、送迎圏の設計次第で武器にも弱点にもなる指標です。
都市部で開業するメリット・デメリット
5つの指標を踏まえ、都市部で開業する場合のメリットとデメリット、そして勝つための条件を整理します。都市部を検討している方は、ここをしっかり押さえておきましょう。
メリット|需要が大きく人材も集めやすい
都市部の最大のメリットは、需要の大きさと人材の集めやすさです。対象児童が多いため利用者を確保しやすく、有資格者の採用もしやすい。放課後等デイサービス経営の二大課題である「集客」と「採用」の両方で有利に立てます。
需要と人材の母数が大きいことは、多店舗展開を目指す場合に特に効いてきます。1店舗目が軌道に乗れば、同じエリアで2店舗目、3店舗目と広げやすいのも都市部ならではです。
デメリット|競合過多と高コスト構造
一方のデメリットは、競合の多さと高コスト構造です。都市部は事業所が密集していることが多く、利用者の奪い合いになりやすい。特色のない預かり型では、そもそも選択肢に入れてもらえません。
加えて家賃が高く、固定費が重くのしかかります。総量規制がかかっているエリアも都市部に多く、そもそも開業できないケースもあります。需要が大きいぶん、参入のハードルも高いのが都市部の現実です。
都市部で勝つ条件|差別化と高稼働の両立
都市部で勝つには、明確な差別化と高い稼働率の両立が条件になります。競合がひしめくなかで選ばれるには、運動特化・学習支援・専門療育など「選ばれる理由」を打ち出すことが欠かせません。
WAMの調査では、黒字事業所の稼働率は約70%、赤字事業所は約61%と、10ポイント近い差があります。高い家賃を吸収するには、差別化で利用者を集め、稼働率を高く保つことが必須です。競合の質を見極め、満たされていないニーズを突く戦略が都市部では特に重要になります。
地方で開業するメリット・デメリット
続いて、地方で開業する場合のメリット・デメリットと勝つための条件です。地方は都市部と正反対の性質を持つため、戦い方も変わってきます。
メリット|競合が少なく低コストで先行できる
地方の最大のメリットは、競合の少なさと低コストで先行できる点です。供給が薄いエリアが多く、先に参入すれば地域で「放課後等デイサービスといえばここ」というポジションを築きやすくなります。
家賃が安く固定費を抑えられるため、損益分岐点が低く、少ない稼働でも黒字化しやすいのも強みです。相談支援事業所や学校との関係を競合と奪い合わずに独占的に築ける点も、地方ならではのアドバンテージといえます。
デメリット|需要の母数と人材確保の壁
デメリットは、需要の母数の小ささと人材確保の難しさです。競合がいなくても対象児童が少なければ、定員は埋まっても複数店舗への拡大は難しくなります。頭打ちが早く来る可能性がある点は理解しておくべきです。
地方開業で特に注意したいこと
地方では有資格者の採用が都市部より難しく、「利用者は集まるのにスタッフが集まらない」という事態が起こりがちです。開業前に、そのエリアで児発管や児童指導員を確保できる見込みがあるかを必ず確認しておきましょう。人が採れなければ、そもそも運営が成り立ちません。
加えて、児童が広範囲に分散するため送迎距離が長くなりやすく、送迎コストがかさむ傾向もあります。低コストのメリットが送迎負担で相殺されないよう、設計に注意が必要です。
地方で勝つ条件|送迎圏設計と地域連携
地方で勝つには、送迎圏の設計と地域連携が鍵になります。送迎は地方では強力な武器で、「遠くても迎えに来てくれる」という評判は新規利用者の獲得につながります。ただし送迎コストと利用者獲得のバランスを数字で管理することが前提です。
また、地域の相談支援事業所・学校・行政との連携を早期に築けば、広告に頼らずとも紹介で利用者が集まります。母数が限られる地方だからこそ、一人ひとりの利用者を逃さない地道な地域密着が効いてきます。低い固定費を活かし、堅実に高稼働を維持するのが地方の勝ちパターンです。
結局どちらを選ぶべきか|最適エリアの判断軸
ここまでの比較を踏まえ、では結局どちらを選ぶべきか、最適エリアの判断軸を整理します。ポイントは、自分の事業目標と照らし合わせて考えることです。
多店舗展開を目指すなら都市部寄り
将来的に複数店舗を運営してスケールを狙うなら、都市部寄りのエリアが向いています。需要の母数が大きく、人材も集めやすいため、2店舗目・3店舗目への展開がしやすいからです。
高い家賃と競合という壁はありますが、差別化と高稼働を実現できれば、その先に大きな成長余地が広がります。エリアドミナント(集中出店)で面を取る戦略も、需要が厚い都市部でこそ活きてきます。
1店舗で堅実に、なら地方も有力
一方、1店舗をじっくり運営して地域に根ざしたいなら、地方も十分に有力な選択肢です。競合が少なく低コストで先行できるため、堅実に高稼働を維持すれば安定した経営を築けます。
人材確保と送迎圏の課題をクリアできる見込みがあれば、地方の低コスト構造は大きな武器になります。「大きく広げる」より「一つを長く続ける」ことを重視する方に、地方は合っています。
共通して外せないのは「需給バランス」
都市部・地方のどちらを選ぶにせよ、共通して外せないのが需給バランスの見極めです。都市部でも競合が飽和しきったエリアは避けるべきですし、地方でも需要そのものがないエリアは成り立ちません。
「対象児童(需要)に対して事業所(供給)が足りているか」を、市区町村レベルの細かい単位で確認することが必須です。都市部か地方かという大きな区分の前に、そのエリア個別の需給バランスを見る。この視点はどちらを選ぶ場合も変わりません。エリア選定の具体的な判断軸は、出店エリアの選び方をまとめた記事もあわせて参考にしてください。
【FC活用】エリア特性に合わせた出店サポート
都市部と地方、どちらにも一長一短があるとわかっても、自分のケースでどちらを選ぶべきかの最終判断は簡単ではありません。ここで頼りになるのが、両方の成功パターンを持つフランチャイズ本部のサポートです。
都市部型・地方型どちらも成功パターンがある
実績あるFC本部は、都市部での差別化・高稼働モデルも、地方での低コスト・地域密着モデルも、どちらの成功パターンも蓄積しています。エリアの特性に応じて、勝ち方の型を使い分けられるのが強みです。
個人で開業する場合、都市部と地方のどちらが自分に合うかを客観的に判断する材料が不足しがちです。運営データに基づく相場観がないと、需要の母数や人材確保の見込みを見誤ってしまいます。ここが独学での判断の一番の壁です。
ブロッサムのエリア特性に応じた出店相談
ブロッサムジュニアは、全国の拠点で蓄積した運営データをもとに、都市部・地方それぞれのエリア特性に合わせた出店提案ができます。あなたの希望エリアが都市部型か地方型かを見極め、それぞれに最適な戦略を提示します。
ブロッサムのエリア相談でできること
- 希望エリアの需給バランスを商圏分析で診断
- 都市部型・地方型に応じた出店戦略の提案
- エリア特性を踏まえた収益シミュレーション
ブロッサムは「赤字撤退ゼロ」を継続しています。これは、都市部でも地方でも、勝てる見込みのある場所でしか出店をすすめないエリア選定のたまものです。「自分の希望エリアは都市部型か地方型か」「そもそも勝算はあるか」といった相談も可能です。
よくある質問(FAQ)
- 放課後等デイサービスは都市部と地方どちらが儲かりますか?
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一概にどちらとは言えません。都市部は需要が大きく人材も集めやすい反面、競合が多く家賃も高い高コスト構造です。地方は競合が少なく低コストで先行できる反面、需要の母数が小さく人材確保が難しい傾向があります。どちらが有利かは、多店舗展開を目指すか1店舗で堅実に運営するかなど、経営スタイルによって変わります。
- 競合の数は都市部と地方でどれくらい違いますか?
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児童1,000人あたりの事業所数には大きな地域差があります。令和元年度のデータでは、最も多い沖縄県で2.06事業所、最も少ない新潟県で0.67事業所と、3倍以上の開きがありました。都市部は競合が密集しやすく、地方は供給が薄いエリアが多く残っています。
- 地方で開業する一番のリスクは何ですか?
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需要の母数の小ささと人材確保の難しさです。競合がいなくても対象児童が少なければ拡大は難しく、有資格者の採用が都市部より難航しがちです。「利用者は集まるのにスタッフが集まらない」という事態も起こり得ます。児童が分散して送迎距離が長くなりやすい点にも注意が必要です。
- 都市部で後発でも勝てますか?
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勝てます。都市部は競合が多くても、既存事業所がどこも似た預かり型なら差別化の余地があります。運動特化・学習支援・専門療育などで「選ばれる理由」を作り、稼働率を高く保てば、後発でも十分に戦えます。黒字事業所の稼働率は約70%が一つの目安です。
- 都市部と地方、選ぶときに共通して見るべき点は?
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需給バランスです。都市部か地方かという大きな区分より前に、市区町村レベルで「対象児童(需要)に対して事業所(供給)が足りているか」を確認することが必須です。都市部でも飽和しきったエリアは避けるべきですし、地方でも需要がないエリアは成り立ちません。
まとめ|都市部と地方は経営スタイルで選ぶ
放課後等デイサービスの都市部 vs 地方は、どちらか一方が絶対的に有利というものではありません。利用者数・人材採用では都市部が、競合の少なさ・家賃コストでは地方が有利という、明確なトレードオフの関係にあります。
この記事のまとめ
- 競合密度は都市部と地方で3倍以上の差がある
- 都市部=需要大・人材◎だが競合多・家賃高
- 地方=競合少・低コストだが需要小・採用難
- 多店舗展開なら都市部、1店舗堅実なら地方が有力
- どちらを選ぶにせよ市区町村単位の需給バランスが必須
大切なのは、自分の目指す経営スタイルに合うエリアを選ぶことです。多店舗でスケールを狙うのか、1店舗で地域に根ざすのか。その目標次第で、都市部と地方のどちらが勝ちやすいかは変わってきます。
都市部型・地方型どちらの成功パターンも持つFC本部のサポートを活用すれば、自分に合ったエリアを客観的に見極められます。エリア選びで迷っているなら、プロの商圏分析とエリア提案を頼るのも賢い選択です。