「児童発達支援管理責任者になりたいけど、要件が複雑すぎて自分が該当するかわからない…」
「保育士から児発管になるには、あと何年かかるの?」
「研修って何を受ければいいの?費用はどのくらい?」
児童発達支援管理責任者(児発管)は、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所に必ず1名以上の配置が義務づけられている重要なポジション。にもかかわらず、「なり方」の情報がバラバラで、全体像をつかみにくいのが現状です。
この記事でわかること
- 児童発達支援管理責任者(児発管)の役割と配置義務
- 児発管になるための3つの実務経験ルートと必要年数
- 基礎研修→OJT→実践研修→更新研修の流れ
- あなたの経歴で最短何年かかるかの早見表
- 児発管の平均年収と給料アップの方法
- サービス管理責任者(サビ管)との違い
- 放デイ開業を目指す方が知っておくべき児発管確保のポイント
結論から言うと、児童発達支援管理責任者になるには「実務経験(3〜8年)」+「基礎研修・OJT・実践研修」の修了が必要です。試験はありません。保育士や社会福祉士などの国家資格があれば実務経験が短縮され、最短3年+研修で取得できます。
この記事では、あなたの経歴別に最短ルートがわかるよう、実務経験の要件から研修の流れ、年収、将来性まで丸ごとお伝えします。
目次
児童発達支援管理責任者(児発管)とは?役割と配置義務
児童発達支援管理責任者、略して「児発管(じはつかん)」は、障がいのある子どもの支援計画を作成し、療育の現場をまとめるリーダー的な存在です。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所には、1事業所あたり1名以上の児発管の配置が法律で義務づけられています。児発管がいなければ事業所を開設・運営できないので、業界全体で引く手あまたのポジションなんですよね。
児発管の主な仕事内容と1日のスケジュール
児発管のメイン業務は「個別支援計画」の作成と管理です。子ども一人ひとりの特性や保護者の意向をヒアリングして計画をつくり、半年に1回はモニタリングで見直しを行います。
ただ、デスクワークだけではありません。放デイの現場では子どもたちと一緒に活動したり、スタッフへの指導を行ったり、保護者面談を担当したりと、かなり幅広い業務を担います。
児発管の1日(放デイの場合)
9:00 出勤・メールチェック・教材準備
10:00 個別支援計画の作成・モニタリング記録
12:00 昼休憩
13:00 スタッフミーティング・保護者への連絡
14:00 子どもたちの受け入れ・療育活動のサポート
17:00 送り出し・記録の整理
18:00 退勤
管理者と兼務しているケースも多く、その場合は売上管理やスタッフのシフト調整なども業務に加わります。忙しいポジションですが、そのぶん給料面でも優遇されやすい立場です。
放デイ・児童発達支援事業所での配置義務
児発管の配置が必要な施設は、大きく分けると以下のとおりです。
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援事業所
- 保育所等訪問支援
- 福祉型・医療型障害児入所施設
- 居宅訪問型児童発達支援
注意点として、児発管は児童指導員や保育士との兼務はできません。ただし管理者との兼務はOKです。小規模な事業所では「管理者兼児発管」として1人2役を担うケースが多いですね。
児発管になるための3つの実務経験ルート
児発管になるための第一関門が「実務経験」です。ここが一番ややこしいポイントなので、丁寧に整理していきますね。
実務経験は大きく3つのルートがあり、いずれか1つを満たせばOKです。
ルート①相談支援業務ルート(5年以上)
障がい児・障がい者の相談支援に5年以上携わった経験がある方が対象です。具体的には、相談支援事業所や児童相談所、発達障害者支援センター、特別支援学校などでの勤務が該当します。
ただし5年のうち、高齢者施設や医療機関のみでの経験を除いた期間が3年以上あることが条件です。老人福祉施設での相談員経験だけでは要件を満たせないので注意してください。
なお、このルートで申し込むには社会福祉主事任用資格や訪問介護員2級以上などの資格が必要になります。
ルート②直接支援業務ルート(5年 or 8年以上)
障がい児・障がい者への介護や訓練、教育などの直接支援を行った経験がある方のルートです。放課後等デイサービスの児童指導員や、障害者支援施設の生活支援員などが該当します。
ここでのポイントは「資格の有無で必要年数が変わる」ということ。
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| 条件 | 必要な実務年数 |
|---|
| 保育士・社会福祉士・介護福祉士・児童指導員任用資格などあり | 5年以上(うち障がい児・障がい者支援3年以上) |
|---|
| 上記の資格なし | 8年以上(うち障がい児・障がい者支援3年以上) |
|---|
資格がないと8年必要になるので、3年分の差は大きいですよね。今から児発管を目指すなら、保育士資格の取得を並行して進めるのも有効な戦略です。
ルート③国家資格ルート(資格業務5年+支援業務3年)
医療・福祉系の国家資格を持っている方は、このルートが最短になる可能性があります。
条件は「国家資格に基づく業務に5年以上従事」+「相談支援 or 直接支援の業務経験が3年以上」。しかも、この5年と3年は期間が重複していてもOKです。
対象となる国家資格一覧
医師 / 歯科医師 / 薬剤師 / 保健師 / 助産師 / 看護師 / 准看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 社会福祉士 / 介護福祉士 / 精神保健福祉士 / 管理栄養士 / 栄養士 / 歯科衛生士 / 柔道整復師 / あん摩マッサージ指圧師 / はり師 / きゅう師 / 視能訓練士 / 義肢装具士
たとえば社会福祉士として放デイで5年間働いていれば、国家資格業務5年と直接支援業務5年を同時に満たせるので、最短で要件クリアとなります。
【早見表】あなたの経歴で最短何年かかる?
「結局、自分は何年かかるの?」という疑問にお答えするため、よくあるケース別にまとめました。
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| あなたの経歴 | 実務経験の必要年数 | 研修期間を含めた最短年数 |
|---|
| 保育士として放デイで勤務中 | 5年(直接支援ルート) | 約5年(基礎研修は要件達成2年前から受講可能) |
|---|
| 社会福祉士として障害者施設で勤務中 | 5年(国家資格ルート) | 約5年 |
|---|
| 無資格で放デイの指導員として勤務中 | 8年(直接支援ルート) | 約8年 |
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| 看護師として病院勤務→放デイに転職 | 国家資格業務5年+支援業務3年(重複可) | 放デイ転職後3年+研修期間 |
|---|
| 特別支援学校の教員 | 5年(相談支援ルート) | 約5年 |
|---|
⚠ 重要ポイント
基礎研修は実務経験要件を満たす「2年前」から受講可能です。つまり、実務経験5年が必要な場合、3年目から基礎研修を受け始められます。この前倒し受講をうまく活用すれば、実務経験の年数を満たした時点ですぐにOJTに入れるので、トータルの期間を短縮できますよ。
児発管になるための研修の流れ(基礎→OJT→実践→更新)
実務経験の要件を満たしたら、次は研修です。児発管になるまでに受ける研修は「基礎研修」→「OJT(2年間)」→「実践研修」の3ステップ。取得後は5年ごとの「更新研修」もあります。
基礎研修の内容と受講要件
基礎研修は「相談支援従事者初任者研修(11時間)」と「サービス管理責任者等基礎研修(15時間)」の合計26時間で構成されています。
内容としては、障がい者支援の基本理念や関連法規の講義、個別支援計画の作成演習などが中心。座学だけでなくグループワークもあるので、実践的な学びが得られます。
受講の申し込みは個人ではできず、勤務先の事業所を通じて行うのが基本です。事業所からの推薦が必要になるケースがほとんどなので、早めに上司や管理者に相談しておきましょう。
なお基礎研修を修了すると「基礎研修修了者」となり、すでに児発管が1名いる事業所であれば2人目の児発管として配置できるようになります。個別支援計画の原案作成も可能になるので、修了した時点でキャリアが一歩前に進む感覚ですね。
OJT期間(2年間)で何をする?
基礎研修の修了後、実践研修を受けるまでに原則2年以上のOJT(実務訓練)期間が必要です。
OJT中は、見習い児発管として個別支援計画の原案作成や、先輩児発管のもとでモニタリング業務などに携わります。「研修で学んだことを現場で実践する期間」というイメージですね。
OJTが6ヶ月に短縮されるケース
令和5年の告示改正により、以下の条件をすべて満たす場合はOJTが6ヶ月に短縮されます。
- 基礎研修の受講開始時点で、すでに実務経験の年数要件を満たしている
- 個別支援計画の原案作成業務に従事することを指定権者に届出済み
- 原案作成業務に6ヶ月以上携わり、合計10回以上の作成実績がある
すでに十分な実務経験がある方は、この短縮制度をぜひ活用してください。
実践研修の内容と修了後の配置
OJT期間を終えたら、いよいよ実践研修(合計14.5時間)を受講します。基礎研修よりもさらに実践的な内容で、個別支援計画のブラッシュアップや、スーパービジョンの手法などを学びます。
この実践研修を修了すると、正式に児童発達支援管理責任者として事業所に配置できるようになります。ちなみに試験はありません。研修への遅刻や進行妨害があると修了不認定になることはありますが、まじめに受講すれば大丈夫です。
5年ごとの更新研修を忘れずに
2019年の法改正で、児発管の資格は5年ごとの更新制になりました。更新研修を受けないと資格が失効してしまうので、これは絶対に忘れてはいけないポイントです。
更新研修の受講条件は「過去5年間に2年以上の児発管・サビ管・管理者・相談支援専門員としての実務経験があること」。現役で働いていれば自然にクリアできる条件ですが、ブランクがあると受講できなくなるケースもあるので注意してくださいね。
万が一、更新研修の期限までに受講できなかった場合は、実践研修をもう一度受け直す必要があります。
児発管の年収・給料はいくら?
児発管を目指すなら、やっぱり気になるのがお金の話ですよね。ここでは厚生労働省の調査データをもとに、リアルな年収事情をお伝えします。
平均月給37万円・年収445万円のリアル
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、処遇改善加算を取得している施設で働く児発管の平均月給は約37万1,320円。年間に換算すると約445万円です。
ただしこれは全体の平均値。施設形態によって差があり、医療型の施設では月給40万円を超えるケースもあれば、小規模な放デイでは30万円前後のこともあります。求人サイトでよく見る月給帯は22万〜35万円程度ですね。
児童指導員・保育士との年収比較
同じ事業所で働く他の職種と比べると、児発管の給料はやはり高めです。
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| 職種 | 放デイでの平均年収 | 児童発達支援での平均年収 |
|---|
| 児童発達支援管理責任者 | 約330万円 | 約399万円 |
|---|
| 保育士 | 約272万円 | 約325万円 |
|---|
| 児童指導員 | 約259万円 | 約283万円 |
|---|
※出典:厚生労働省「平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果」より算出
児童指導員と比べると年収で70〜100万円以上の差がつきます。資格取得までの道のりは長いですが、そのぶん報われるキャリアアップと言えるでしょう。
年収アップの3つの方法
児発管としてさらに年収を上げたいなら、以下の3つの方法が現実的です。
- 管理者を兼務する
児発管と管理者の兼務が認められているため、管理者手当がつく事業所を選べば月給で3〜5万円アップが見込めます。
- 複数事業所を統括するエリアマネージャーを目指す
大手法人では児発管経験者をエリアマネージャーに昇格させるケースがあります。年収500〜600万円台も狙えるポジションです。
- より好条件の事業所に転職する
児発管は圧倒的な売り手市場。エリアによっては求人を出しても応募がゼロということもあるほど人材が不足しています。条件交渉もしやすい環境なので、転職で年収50〜100万円アップした事例もめずらしくありません。
児発管とサービス管理責任者(サビ管)の違い
児発管と混同されやすいのが「サービス管理責任者(サビ管)」。どちらも個別支援計画の作成が主な業務ですが、対象者と活躍の場がまったく異なります。
対象者と活躍できる施設の違い
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| 比較項目 | 児童発達支援管理責任者(児発管) | サービス管理責任者(サビ管) |
|---|
| 対象者 | 18歳未満の障がい児 | 18歳以上の障がい者 |
|---|
| 主な勤務先 | 放課後等デイサービス、児童発達支援事業所 | 就労支援事業所、グループホーム、生活介護事業所 |
|---|
| 配置義務 | 障害児通所・入所施設に1名以上 | 障害福祉サービス事業所に1名以上 |
|---|
ざっくり言うと、「子ども向けが児発管、大人向けがサビ管」と覚えておけばOKです。
研修の互換性はある?
実は、基礎研修はサビ管と児発管で共通の「サービス管理責任者等基礎研修」に統一されています(2019年度〜)。そのため基礎研修を修了していれば、OJTの実績と実践研修の受講次第で、児発管にもサビ管にもなれる仕組みです。
将来的にキャリアの幅を広げたいなら、両方の資格を視野に入れておくのも良い選択肢ですよ。子ども支援から大人の就労支援まで、活躍フィールドが大きく広がります。
児発管の将来性と需要が高まる理由
児発管の将来性は、正直かなり明るいと言っていいでしょう。その根拠を2つの視点からお伝えします。
発達障害の認知拡大と放デイ市場の成長
発達障害の社会的な認知が広がったことで、療育サービスを利用する子どもの数は年々増えています。放課後等デイサービスの事業所数も右肩上がりで、全国で2万か所を超えるまでに拡大しました。
事業所が増えればそのぶん児発管が必要になるわけですが、資格要件のハードルが高いため供給が追いついていません。「エリアによっては全く応募が来ない」という声もあるほどで、まさに超売り手市場。この構造はしばらく変わらないでしょう。
放デイ開業を考えるなら児発管確保が最重要
放課後等デイサービスの開業を検討している方にとって、児発管の確保は最大の課題です。児発管がいなければ指定申請ができず、事業所を開設すること自体ができません。
開業準備の段階で、できるだけ早い時期から児発管の採用活動を始めることをおすすめします。実務経歴証明書の準備にも時間がかかるため、「良い人が見つかったのに書類が揃わず間に合わない」というケースも実際にあります。
自分自身が児発管の資格を取得してから開業するのも一つの手です。人件費を抑えられるだけでなく、現場を深く理解した状態で経営に臨めるメリットがあります。
よくある質問
- 児童発達支援管理責任者になるのに試験はありますか?
-
試験はありません。
実務経験の要件を満たし、基礎研修・OJT・実践研修を修了すれば児発管として配置できます。研修に遅刻や進行妨害がなければ、基本的に修了認定されます。
- 無資格・未経験からでも児発管になれますか?
-
可能ですが、最低8年以上の実務経験が必要です。
資格がない場合は直接支援業務ルートで8年以上の経験が求められます。保育士などの資格を取得すれば5年に短縮できるので、並行して資格取得を目指すのがおすすめです。
- 児発管と管理者は兼務できますか?
-
はい、兼務可能です。
児発管と管理者の兼務は認められています。ただし、児童指導員や保育士との兼務はできません。小規模な事業所では「管理者兼児発管」として勤務するケースが多いです。
- 研修は個人で申し込めますか?
-
基本的には、勤務先の事業所を通じて申し込む必要があります。
多くの都道府県では事業所からの推薦が受講条件になっています。ただし一部の自治体では個人申し込みも受け付けているケースがあるので、お住まいの都道府県のホームページで確認してみてください。
- 基礎研修修了者でも児発管として配置できますか?
-
条件付きで可能です。
すでに1名の児発管が配置されている事業所であれば、基礎研修修了者を2人目の児発管として配置できます。また、個別支援計画の原案作成も可能になります。ただし、正式な児発管としての単独配置には実践研修の修了が必要です。
まとめ
この記事のまとめ
- 児発管は放デイ・児発事業所に1名以上の配置義務がある重要ポジション
- なるには「実務経験(3〜8年)」+「基礎研修→OJT→実践研修」の修了が必要
- 実務経験は「相談支援」「直接支援」「国家資格」の3ルートから選べる
- 保育士や社会福祉士などの資格があれば必要年数が短縮される
- 平均年収は約445万円で、児童指導員や保育士より高い傾向
- 取得後は5年ごとの更新研修が必須
- 需要は拡大中で、人材不足が続いている売り手市場
正直なところ、児発管は「取得までの道のりが長い」と感じるかもしれません。要件は複雑だし、研修も時間がかかる。でも、だからこそ取得した後の市場価値はめちゃくちゃ高いです。
放課後等デイサービスの事業所は全国で増え続けていて、児発管の人材不足は深刻なまま。「資格を持っている」というだけで転職先に困ることはほぼないと言っていいでしょう。
今の経歴から最短で何年かかるか、まずはこの記事の早見表で確認して、一歩を踏み出してみてください。将来の自分に感謝される選択になるはずです。